自閉症状の表現を助けるツール
自閉症者の得意分野として、物事の法則を捉えて、決まったやり方を理解すると、きっちりルーチン化しやすいことがあります。
言語での表現が苦手であっても、非言語的なコミュニケーション手段を伝えることで表現のはばが広がることがあります。
私にとってパソコンを使っての文章表現もコミュニケーションツールと感じています。
もちろん言葉での表現が出来ないわけではありませんが、文章で伝えることの10分の1ぐらいしか表現は出来ません。
場面緘黙(かんもく)言葉がでない苦しさ
私は思春期に、いじめを受けたことによって、言葉が出せなくなった時期がありました。
自分でも情けなかったのですが、中学3年生のクラス替え後に自己紹介をする場面で、突然、気道や舌が痙攣して自分すら言葉に表せませんでした。
私は、小学生の時はむしろ活発に人前で話すタイプでした。
しかし、自分でも気づかないうちにいじめのダメージを心身に受けていて、身体が人前で表現することを避けるようになっていたのです。
自分なりに臨床心理的に自己分析と訓練を繰り返し、改善を果たせていきましたが、対面では表現より緊張の方が強く出てしまいます。
言葉が出にくい時期は、思っていることが伝えられず、何もわかっていない人間の様に扱われることもありました。
しかし私は、冷静に回りの動静を観察し、他人の思惑も推測出来て、自分の考えも持っていたのです。
発語が困難な自閉症児と接している際も、表面で表れているコミュニケーションの何倍も理解していることが多くあると感じます。
そして、それらを言葉で表現できていないだけだと感じて、言語以外の表現方法を探求しました。
言語で表現できない意思を伝えるツール
発達障害理解の進歩に驚きました。こんなに実用的な自閉症支援ツールが市販されているのです。私は障害児支援の現場で同様のツールの数段階劣化版を作成しようとしていました。
自閉症児には、言葉では表せなくても、「したいこと」「いいたいこと」「表したいこと」の「概念」はよく理解出来ていることがあります。
言葉のやり取りというのも、そもそも「概念」を組みあわせたものなのですが、自閉症児には対人緊張や言語表出の困難があってやり取りできないことがあるのです。
このツールのカードで表現しているものは、言葉にすると長くなる意味「概念」を指さしだけで伝えられるものなのです。
日常で使うあいさつなどの46種類のカードと、場面と組み合わせた62種類のカードで自閉症児の感情表現を助けます。
このツールを使われると、自閉症児・者が実は様々な事象を深く理解していることがわかると思います。
同時に自閉症児・者にとっても、理解されなかった気持ちを表し受け取って貰える喜びが感じられると思います。
コミュニケーションの相違で起こっていた「かんしゃく」「問題行動」も、ツールの助けで気持ち交流しあえることで、解決していく可能性もあります。
※詳細は以下参照です。
コミュニケーション支援と組み合わると効果的なスケジュールカードとのセットもありました。
見通しを立てることが苦手な自閉症にとって、スケジュールの明確化は安心感をあたえるものです。必要性と実行効果については別記事でかいています。
関連記事:スケジュール視覚化の効果
※詳細は以下参照です。
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